職人マツナガ通信

イタリア就職記 (36)

P氏もたたき上げの職人らしく、頑固で直情型でした。
ボクともよく、衝突していましたが、他の職人ともやってました。

P氏が指示をあたえて、それを職人がかたちにするのですが、それが自分の思い通りにできていないと、ものすごいオーバーリアクションでつっこんできます。
同僚がある時、何回かやり直しを指示されたパートを、さらに彼の思い通りに出来なかったらしく、ついにP氏が怒り出し、大声で文句言いながら、握っていたハンマーを思いっきり放り投げました。

広い工房でしたのでなにも問題はなかったのですが、でかいハンマーですから、そりゃ迫力ありました。
同僚の職人も頭にきて、やってらんねえよ~、という感じで工房をでていき、2・3日仕事場に出てこない、なんて事もありました。

ボクとの衝突は、物理的なものはなかったですが、激しい口論はしょっちゅうでした。
ある時、P氏がボクに向かって、
”なんでおまえはそんなに自分のいうことにそんなに自信があるんだ”といったことがあります。
ボクも若くて生意気だったんでしょうが、ボクのこだわることの裏には、日本で学んだ数字の裏付けがあったからなんですね。
その辺りを上手く説明出来なかったので、P氏もボクを頑な奴と思っていたと思います。