職人マツナガ通信

4月16日

画像は93年にボクがフレームビルダーとして独立してつくった31本目のフレーム
です。
オーナーのT島さんは、いま3本目のフレームの御注文をいただいていて、
さらにこのフレームを再々再塗装してまだ使ってくれるということです。
このフレームゆうに6万キロメートルははしっているんじゃないでしょうか。
作り手としてはとてもうれしいことです。
よくフレームの寿命ということをきかれますが、
これは素材、また同じ素材でも肉厚や処理のしかたでものすごく変わってきてしまう
ものなのです。
素材にはそれぞれ”疲れ強さ”という材料に繰り返し応力が生じるとき、繰り返し回
数が増加することによって材料の強さが低下することを数字にしたものがあります。
これは素材時点での数字ですが、フレーム寿命を考える上でベースにはなります。
ボクの経験でいうと、クロモリの薄肉ものは2万キロでダウンチューブがきれいに金
属疲労破断をしました。
乗り換えた肉厚のあるものは2万キロ以上乗ってもピンピンしていました。
同じクロモリでもこんなに違うのでフレームの寿命というのはなかなかむずかしい問
題です。
プロがつかうようなフレームは設計思想において長く持たせようという要素の優先順
位はひくいとおもいます。
F1のマシンをつくるときにこれ一台で何年も走らせようなんて考えは全くはいらな
いはずですよね。
ですから自転車の場合は、値段が高い=長持ちする という図式は成り立たない場合
もありますね。

2018511173725.jpg